手巻き寿司とは
寿司は、定番のにぎり寿司の他に以下の種類があります。
・にぎり寿司
・軍艦
・巻き寿司
・押し寿司
・ちらし寿司
・ばら寿司
・いなり寿司
・なれ寿司
・手巻き寿司
形や具材、調理法や地域によって呼び方が変化しているのが、日本の寿司文化のおもしろいところです。
では、この中でいつ手巻き寿司は登場したのかというと、時はさかのぼって江戸時代。
着流しを着て、腰に日本刀を携え、ヘアスタイルはちょんまげといった“SAMURAI”がいた頃です。
当時の賭場の客が片手でささっと食事を済ませたいという希望から、巻き寿司がうまれたという説があります。
巻き寿司の形もすでに地域によって違いがありました。江戸では、鉄火巻やかんぴょう巻など、具材ひとつが粋とされる細巻きが主流。
いっぽう、西の大阪では、たまご焼きやかんぴょう、しいたけ煮など複数の具材が入った豪華な太巻きが好まれていたとのことです。
このように屋台などで売られていた巻き寿司が、家庭でつくられるようになったのは明治〜大正時代になってから。
いなり寿司やバラ寿司、五目寿司など、大衆的な寿司が家庭に登場します。
昭和の初期からは、五穀豊穣を祈る秋の神事他年中行事や、
家族のお祝い事のある「ハレの日」など、特別なときにつくられるものとなりました。
そして、昭和の後半にもなると家族の形態も変わってきて核家族化が進みます。
3〜4人の家庭でゆるく自由に寿司を楽しむスタイルの手巻き寿司が広まっていきました。
どんなときに手巻き寿司をつくるの?
手巻き寿司が広まったのは、昭和の後半です。
主に家族の誕生日パーティー(主にこども)の際に登場することが多く「ハレの日ごはん」の定番といっても過言ではないでしょう。
平成に入ると、にぎり寿司が安価で楽しめる回転寿司が登場し、特別な食事の位置づけだった寿司が一気に大衆食となりました。
出前やテイクアウトなども普及し自宅でも気軽に寿司が楽しめるようになり、
今では特別なときでなくても、食べたいときに寿司を食べるという人が増えました。
そんな中、手巻き寿司は特別な日に準備するおうちパーティーごはんという位置づけは、昭和の後半からほぼ変わりません。
ごはんを炊いて寿司桶に移し、すし酢をなじませたら、こどもたちがうちわでパタパタと酢飯を冷まします。これは50年前から続く光景です。
いっぽう、変わったのは手巻き寿司の具材。まぐろ、イカなど生魚が主流だったのが、
ソーセージや唐揚げなどバラエティに富んだおかずも加わり、より華やかで楽しい食卓になりました。
令和の現在は、特別なときでなくても「今日手巻き寿司にしよう!」と気軽につくれるパーティーメニューとなっています。
手巻き寿司の具材はどんなものがある? おすすめは?
かつての手巻き寿司の具材は、主に生魚でした。
今は、おどろくほど多様な具材を楽しめます。アイデア次第で何でもお寿司にしてしまえるのですよ。
世代別に人気の具材をご紹介しましょう。
大人に人気
【定番】 生魚(刺し身)、きゅうり、大葉
【変わりネタ】アボカド、チャーシュー、牛しぐれ煮、さしみ醤油漬け
こどもに人気
【定番】 納豆、ちくわ、ソーセージ、たまご焼き、ツナマヨネーズ、マヨコーン
【変わりネタ】唐揚げ、エビフライ、エビチリ
このように、何でも具材にして巻いていいことがわかります。柔軟な発想でどんどん新しい具材にチャレンジしてみてください。
もっと手巻き寿司の世界を広げたい方は、世界の「巻き料理」をヒントにお寿司の具材にしてみてはいかがでしょうか?
韓国では、“サムギョプサル”。“サンチュ”という葉物野菜に焼いた豚バラ肉、キムチ、ナムルなどを巻きます。
メキシコでは、ブリトーやタコスが有名ですね。とうもろこしの粉を水で溶いて焼いたクレープ状の皮・トルティーヤに、肉そぼろ、細切りレタス、トマト、チーズ、サルサソースを巻いて食べます。
フランスでは、ガレット。たまご、ハム、チーズが包まれていますよね。手で持つ巻き料理ではありませんが、ヒントになります。
あとは、ベトナムの生春巻き。水で柔らかく戻したライスペーパーに、き蒸しえび、アボカド、レタス、そうめんなどをキュっと巻いて、
チリソースなどにつけてさっぱりといただきます。
“カリフォルニアロール”は、アメリカ発祥の巻き寿司です。日本でも定番になりつつあります。
世界の巻き料理をヒントに、自由に米と海苔に組み合わせればあなただけのお気に入りがきっと見つかるはず。
あなたオリジナルの手巻き寿司の世界をつくっていきましょう!
手巻き寿司で使う道具とは
手巻き寿司を準備する際、日本では寿司桶やしゃもじ、うちわなどの道具を使います。
これらを必ず使うというわけではなく、キッチンにあるもので代用できます、安心してください。
炊飯器
お米を炊く時は、一般的に炊飯器を使います。
日本は主食が米ですので、炊飯器の機能もいろいろ。かたさ加減もボタンひとつで自在に操作できます。
炊飯器がなければ、ライスクッカーや鍋を使えば30分ほど(浸水する時間を除く)で米を炊けまますよ。
お米の炊き方(鍋)
【作りやすい分量】
・米:300g
・水:450ml(目安)
1.お米を水で研ぎます。
ボウルとザルを使うとやりやすいです。
1回目は水が白く濁ります、すばやく水を捨ててください。米の粒がみえてくるまで何回か水を変えて研ぐようにしましょう
2.研いだ米を鍋に移し、米がしっかり浸かるように分量の水を注ぎ30分ほど浸水させます
3.コンロの真ん中に鍋をセットし蓋をして、中火にかけます
4.グツグツと沸騰しているのが確認できたら、そのまま中火で2分
5.そのあと、ごく弱い火にして5〜7分じっくりと炊きます
6.蓋をあけて、米が全部の水分を吸い込んでいるのを確認してください。水分がまだ残っていたら数分弱火で炊いてください
7.蓋をして10分蒸らして、ホカホカごはんのできあがり
はじめて米を炊く時は、芯が残ることがあるかもしれません。
ごはんを炊く時は沸騰するまで火を強くいれて2分、あとは芯までじっくりと熱を通すことが肝心です。
炊いていくうちに、コツがわかってきますよ。
また、寿司の米は合わせ酢で味付けするため、少しかために炊くのがポイントです。
寿司桶
寿司桶は、木でつくられています。薄く板状に切ったサワラなどの木材を繋ぎ合わせて、金属のタガで固定した、伝統的な生活道具です。
木という素材が、ごはんの水分量を調整する役割を持っているんですよ。
昭和の時代は、一家にひとつあった寿司桶。
核家族化がすすみ、家族大勢で大皿料理を囲むことがなくなったため、今の日本ではボウルやバットで代用している家庭が多いです。
しゃもじ
しゃもじは、ごはんをすくったり混ぜたいするための道具です。昔ながらのしゃもじの素材は、木や竹でできたものです。
最近ではプラスチックやシリコン製なども多く、ごはんがしゃもじにつかない、柄が自立するなど、
さまざまなな工夫をされているものが販売されています。
しゃもじは、ごはんをお椀によそったりする他、炊きたてごはんに合わせ酢を混ぜ合わせたりするときなどに使用します。
手巻き寿司をつくる際には、海苔にごはんを乗せて広げるときに活躍します。
ない場合は、木べらやゴムべら、大きなスプーンなどで代用が可能です。
うちわ
うちわは、手で扇いで風を起こす道具です。日本の蒸し暑い夏に欠かせないアイテムのひとつです。
手巻き寿司をつくる際は、すし桶に移した炊きたてごはんに合わせ酢を混ぜ合わせたあと、酢飯を冷ますときに使います。
うちわで酢飯を冷ます作業は、こどもがその役割を担うことが多いです。
1秒でもはやく酢飯が冷めると、はやく手巻き寿司が食べられるので、
両手にうちわを持ち高速で扇いで風を送るなど、ゲーム感覚でお手伝いに参加していたりします。
うちわがない場合は、A4サイズほどの薄めのパンフレットなどで代用できます。
サーキュレーターでも楽に風を送れますが、手で起こすやさしい風がおいしい酢飯にしあげるコツです。その風情も含めて楽しむのが、手巻き寿司の魅力でもあります。
箸
箸は、日本だけでなく中国や韓国他、東アジア地域を中心に使われている食器・道具です。
2本で一対になった細い棒状のもので、食材を挟んで運びます。
日本食では箸一膳で食事を済ませるほど、なくてはならない道具となっています。
用途によって長さも違い、種類もさまざまで、形状、素材、デザインなどとても豊富です。
手巻き寿司をつくる際は、海苔にごはんを広げたものにさまざまな具材を乗せるときに箸を使います。
箸は、スプーンやフォークで代用可能です。
海外の方にとって箸はなじみにくい道具ですが、使えるようになるととても便利です。ただ持ち方使い方には日本人でも少しコツが入り、
むずかしいもの。あきらめずに使い続けていると、スムーズに箸を動かせるようになりますよ。
さいごに
にぎり寿司だけが寿司ではありません。
一人ひとりが自由につくり、具材も枠にハマらないバラエティ豊かなフリースタイルの寿司が、手巻き寿司。
海苔と米さえあれば、どんな具材も寿司に変身してしまいます!
見た目もカラフルで、つくる体験が楽しいから、どんな国のおうちパーティーにもぴったり!
米の炊き方、海苔や合わせ酢の味も、日本の食文化に触れる楽しさのひとつ。
全世界の人が、手巻き寿司のおいしさ楽しさにハマってしまうかも!?
そうなったら、私たちはとてもうれしいです。
手巻き寿司を何度か楽しむうちに、本格的に日本ならではの道具を使ってみたい!なんて思う日が来るかもしれません。
実際に日本の道具を使うと、その趣きはもちろんのこと、機能性が高いことに驚きますよ。機会があればチャレンジしてくださいね!