お米は日本食文化
日本食は2013年に、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。誰しも祖国の料理が大好きなものですが、
日本人もまた、日本料理(日本食・和食)に誇りを持っています。
その日本食の中心となるのが、米(コメ)です。
世界中にコメはありますし、コメ食の文化も存在しますが、日本米は特にジャポニカ米と呼ばれます。
日本以外の国では、インディカ米が主流です。しかし、日本食にはジャポニカ米が理想的で、とにかく日本食にマッチします。
コメについて解説します。
日本米がなぜ寿司に合うか
寿司は、シャリとネタで構成されます。そのシャリは酢飯とも呼ばれ、お酢が適切にまぶしてあるのです。
少しだけ、軽く酸っぱいのが特徴ですが、基本的に寿司は温かいご飯で
作るので、温度があるためあまり酸っぱさは感じません。
そのシャリ、コメは、ややパサパサしたコメや、丸みが少ないコメだと、あまり寿司には向いていないとされます。
一方で、粘度が高くて粘り気のあるコメもまた、寿司には合わないのです。よって、寿司職人はコメの選び方も勉強をします。
コメの種類
そもそも、米は稲という植物の穀物です。
稲は大別するとアフリカ系とアジア系にわけられ、アジア系がジャポニカ米やインディカ米です。
さらに、アジア系にもジャポニカ米、インディカ米、タイ米、インド米など、沢山存在します。
そして、ジャポニカ米にも細かい種類が沢山あるのです。
こしひかり、ささにしき、ゆめぴりか、ひとめぼれ、あきたこまち、さまざまな品種が作られます。
日本で作られるお米はすべてジャポニカ米なので、どの品種を選んでも基本的には寿司にも日本食にも合います。
冷めても味が落ちず粘り気もそこそこ
ジャポニカ米がなぜ寿司に合うかというと、米の美味しさが、冷めても落ちないのです。
ジャポニカ米は“炊く“”炊飯“という調理工程を経ます。生の米は食べられません。といっても、水を吸わせて火にかけるだけです。
そして水で膨らんだお米を食べたり、寿司として握ったりします。
炊きたてのお米の美味しさは別格です。
ただ、冷めても味が落ちないのは大きな強みで、ジャポニカ米の特徴でもあります。
寿司は炊きたての米を冷やしてから握りますが、だからといって味が落ちているわけではありません。
そして、粘り気はそこそこです。
米には、粘りが強い品種も存在しますが、寿司では握るという調理工程が入るので、
粘りが強すぎると、手についてベトベトになりますし、寿司の形を保てないのです。
また、寿司のみならず日本食は、見た目の美しさもとても大切です。
自然を閉じ込めたかのような芸術的な美観を保つためにも、米そのものの美しさも重要になってきます。よって、水にもこだわる寿司職人は多いのです。
“はじめちょろちょろなかぱっぱ”という歌も
米の炊き方についてみていくと、ある伝統の歌にたどり着きます。
“はじめちょろちょろ中ぱっぱ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、ひと握りのワラ燃やし、赤子泣いてもふた取るな”
という歌です。
歌謡曲ではなく、民間伝承の小歌として、歌い継がれてきました。この歌は、米の炊き方を伝承した歌なのです。つまり
●最初は弱火で
●炊けてくると中火で
●沸騰したら強火にする
●わらが燃える程度の時間を取る
●絶対に、途中で蓋を外してはならない
という米の炊き方の手順を解説しています。
炊く前の米は、堅い生米です。かたくて食べられません。そして炊くと柔らかくなるのですが、
炊き方に失敗すると、「芯」が残ってしまいます。芯が残るとすこしかたくなり、食べるのに苦労します。
きちんと最後まで炊けたお米は、芯が残っておらず、“米が立つ“のです。この”米が立つ“については、後述します。
はじめちょろちょろの歌は、芯を残さないために、美味しく炊き上げるためにも必要な手順です。
メロディは多種多様ですが、大切なのはその歌詞です。
“コメが立つ“という表現
そして、芯が残っていない米は、炊き上がって蓋をあけたとき縦になります。
それだけバランスが取れていて水分を含み、甘くて美味しいご飯ができあがるのです。
米が立つとは、褒め言葉で、美しく美味しいご飯のことをそう呼びます。
お米と神事との関りについて
実は、日本ではお米の存在は、神事とも深い関係を持ちます。
日本は国土が狭く、大部分が急勾配の土地なので、稲作を通じて昔から山の水を天然のダムとして蓄えてきました。
雨の水が栄養分を含みながら海へ戻り、海の幸を豊富にして、また雨となって山に戻るのです。
こうした豊かな自然が、食生活の豊かさへとつながっています。
古くより日本の自然循環システムは働いており、昨今のSDGs(持続可能な社会)との関りも強くなっています。
最後に
お米は日本人にとって食卓のものであると同時に、神様にもかかわってくる大切な存在です。
大自然の恵みを得ることになりますから、神事の際のお供えにも使われます。
もしかしたら、あらゆる日本食の食材の中で、もっとも重要な存在かもしれません。
そんなお米や日本食は、”うまい“という表現がされます。うまいは”甘い”が転じた言葉で、“うまみ“という独特の表現もあるのです。
うまみとは何かを日本語以外で伝えるのは難しいので、ぜひ一度、この”うまい“”うまみを感じる“を、お米で体験してみてください!