SUSHI について

 SUSHI(すし)とは、厳密な定義では
シャリ(酢+ご飯) + ネタ(具材)
で構成された日本食のことで、寿司・スシと呼ばれ、古くは鮨・鮓などの漢字も当てられました。
1000年以上の歴史を持つとされますが、生魚を保存する技術が昔はそれほど高くなかったので、
もともとは発酵食としての起源を持ちます。現代では、シャリにネタを載せて、軽く握った状態を、寿司と呼びます。 


江戸時代の侍達と寿司

 
現代の寿司の形、つまりシャリに生魚が載って、間に“わさび”があったりなかったりする寿司が生まれたのは、
今から300年前の江戸時代です。当時はシャリ(酢飯)の大きさがおにぎりほどあり、手の甲ぐらいのサイズでした。
とても大きく、ひとつ食べるとお腹いっぱいになったので、江戸の庶民のエネルギー補給として愛されるようになりました。
江戸時代というのは、侍(SAMURAI)の時代です。
“ちょんまげ“を結って、刀(KATANA)を脇にさし、馬に乗って見回ったり、主君(BOSS)に使えたりするあのSAMURAIの時代です。
SAMURAIは、いわば特権階級なのですが、江戸の街にも住んでいました。
お城の周りにある街(城下町)に暮らし、日々、商人らと一緒に大きな寿司を楽しんでいたことでしょう。 

 江戸時代の当時の寿司店は、アジア圏によくみられる“屋台”の形式でした。

店主が手押し車で具材を運び、路上で売り歩くのです。お客が来たらその場に手押し車を停留し、寿司を振る舞います。店のオープンです。

寿司はもともと手で食べる文化でした。現代でも手で食べると美味しさが最高潮の瞬間を寿司職人が計算し尽くしているとされます。
シャリは熟練の職人が握り、ぎゅっと握らず、空気を入れながらやわらかく握ります。
空気が入っており、ネタが新鮮なのも相まって、最高に美味しい瞬間を口に入れられるのです。 

また、江戸時代は“のれん“がかかっており、のれんを手で拭いて店を後にしたといいます。よって、江戸の町では、「のれんが汚い店ほど、ネタが新鮮(人気があって沢山の人がのれんで指を拭くから)」といわれていたのでした。

寿司で使われるネタはどのような魚か

 
シャリの上にのるネタは、色々な魚が使われます。魚だけでなく、肉やソーセージが使われることもあるぐらいで、さまざまに進化しています。
 
・まぐろ
・こはだ
・タイ
・シャケ
・いくら
・ウニ
・えび
・ぶり
・はまち
・ほたて
・いか
・えんがわ
・たこ
・あなご
・かんぱち
etc
など、さまざまなネタが使われます。
寿司は日本食文化として世界中で強い人気があります。日本以外の文化と混じり合って、「カリフォルニアロール」が新たに生まれています。
カリフォルニアロールは、カニカマとアボガドをマヨネーズで和え、裏巻きして“白ごま“か“とびこ“をまぶしたものです。
日本でも子供がよく食べるカリフォルニアロールは、日本人以外の国の人が、寿司の入門として、好むことが多いようです。 


寿司のネタは職人が釣ってくるの?

 寿司のネタ(魚)を職人はどこから仕入れているのでしょうか。寿司のネタは、実は職人が川や海で調達・・・はしません。
日本全国に、公設市場という卸を扱うプロ専門のマーケットが存在し、そこに日本中の漁師町から魚が送られてくるのです。
公設市場には仲卸が存在し、生産地から大量に入ってくる魚を小分けにして買い付け、各鮨店に卸していきます。
たくさんのネタを仕入れる必要がある寿司店の場合は、職人が仲卸の役目を担い、大量に買い付けます。
日本全国に店を持つチェーン寿司店の場合は、会社で船を出し、公設市場を通さずに魚を調達する店もあります。
その方が、市場価格に左右されず、安定した値段で提供できるからです。
ただし、個人経営の寿司店の場合は、公設市場から買い付けています。 

公設市場について

 なお、公設市場は魚だけを取り扱っているのではなく、肉や野菜や果物なども、日本全国から公設市場に卸されてきて、
地域のレストランに行き渡るというシステムになっています。
市場というぐらいですから、マーケット性を持ち、入札制度によって値段が上がったり下がったりします。
需要と供給で価格が決まりますから、正月のマグロは、1億円で落札されることもあります。
また、首都東京は全般的に値が高くなりがちなので、もっとも美味しい食べ物が集まります。東京は美食の町でもあるのです。
公設市場は各地にありますが、大阪は独特の発展をしており商人の町で安いモノが好まれます。
一方、京都は気品が高くて高いモノばかりをほしがり、
東京は安いモノも高いモノもすべてを飲み込む“ウワバミ”のような市場だとされます。 

寿司の値段について

 
寿司は、1セットを1貫と数えます。
多くの場合、『スシロー』『かっぱ寿司』『くら寿司』『すしざんまい』などの「回転寿司」と呼ばれる寿司のチェーン店では、
1皿2貫がセットになっています。
寿司は、回転寿司だと、1皿(2貫)で100円+税~300円+税で食べられます。
非常に安価なので、ファミリー層にも人気です。
ただし、シャリは職人が握っているわけではなく、ロボットです。寿司ロボットが裏でシャリをまとめて、アルバイトがカット済みのネタを載せて、少しだけ端に丸みを持たせて、寿司っぽくしています。
一方、寿司の値段は高級店になると、1貫で3,000円以上する店もあります。
そうした店では、職人が英語で解説してくれたり、店内が和の伝統を重んじた風情ある内装になっていたりと、寿司の味以外の魅力もたっぷりです。
しかし、1貫3,000円は高すぎるのではないでしょうか。
それなら、町の寿司店がおすすめです。
どの町にも、職人が独立して構えた店が存在し、毎日新鮮なネタを公設市場に仕入れに行っています。
会話も楽しめますし、混雑していませんし、地域のこともよく知っているので色々教えてくれます。
値段は1貫500-800円ぐらいですので、ぜひ日本滞在中は、ホテルのある町の寿司店にいってみてください。 

手で食べてみよう

 
町の寿司店では、手で食べるのがおすすめです。文化的に手づかみがマナーとして許容範囲なら、ぜひ手で食べてみてください。
日本食の中では、唯一、寿司だけが手で食べるものです。
職人が握った寿司は、空気がふんわりしていて、口の中にいれたときに、味のピークが訪れるように計算され尽くしています。
箸やフォークやスプーンもいいですが、せっかくの寿司の形が崩れてしまいますので、苦手な箸をがんばるか、手がおすすめです。
繰り替えしになりますが、寿司以外の日本食は、手で食べてはいけません。 

醤油のつけかた

 寿司に醤油をつけて食べると、より“通“(Connoisseur)になれます。ただし、醤油はシャリではなくネタにつけてください。
ただ、味が濃くなるので、ネタによってはもともとタレがついている場合もあります。わからないなら職人さんに遠慮なく聞いてみましょう。 

海苔

 海苔は海藻を乾かしたものです。乾物と呼ばれ、風味を出すのと、シャリとネタを巻いて固定する両方の役割を果たします。
味がついた海苔や、韓国ではごま油であぶった海苔がありますが、寿司で使われる海苔は、乾いて味もついていないものです。 

わさび

 わさびは、味のアクセントに不可欠なものですが、日本食の通でないとなかなか馴染みがないことだろうと思います。
かなりの刺激で、鼻を通る痛みがあるので、日本人でも苦手な人は多いので安心してください。
寿司を最初に食べるときは、「わさび抜き」をオーダーした方が無難です。 

お酢

 お酢は、シャリが傷まないように保護する役割を持ちつつ、味を引き締める働きもあります。
お酢は世界中で使われる調味料なのですが、寿司のシャリにも使われています。
また、液状の酢だけでなくパウダーも存在します。
寿司や手巻き寿司といった、生魚の傷みやすい食材を扱うときは、酢で調理するのも日本食の特徴です。
非常にヘルシーな味となるので、日本にはあまり肥満の人がいないのも関係しているのではないでしょうか。 

寿司の衛生面について

 寿司は、基本的に職人が手で握ります。ネタは包丁を使って切りますが、手でシャリをつかんで握ります。
そのため、不衛生に感じる方もいるかもしれません。
最近では、ビニールの使い捨て手袋を用いて、直接的に手が触れないように工夫しているお店も多いです。
なので、安心して食べてください。生魚を食べる習慣がある日本では、衛生面に徹底的に配慮されており、食中毒の発生も寿司店ではほぼありません。 

最後に 

 
寿司店での寿司を楽しんでください!食べる順番は自由です。
玉子から始めるのが通だという人もいれば、マグロばかり食べる人もいます。日本人であっても人それぞれなのです。
ガリと呼ばれるショウガの甘酢漬けも美味しいですし、味変化を楽しみながら、思いっきり寿司を楽しみましょう!ただし、よく噛んでくださいね。